【前世療法57】*海賊の前世*一人では権力も幸せも感じられない*
前回の続きです。
【ご相談内容】
- 人と壁を作ってしまう
- 人に頼ることができない
- 神仏や高次の存在に違和感を感じる
- 人や見えない存在との間にベールがある気がする
強欲私欲にまみれた高僧と、そうとも知らずにお布施をし、彼やその信仰を崇める教徒や檀家たちの姿を見て、前世のTさん(お坊さん・修行僧)は、この現状を正直に教徒たちに伝えました。
けれど、最終的にその高僧に目を付けられ、寺を追い出されてしまいます。
「勇気を出して、もっと上の立場の人に自分の口で言ったら変わったかもしれない。しかし、上の立場の人たちとは会うこともできなかったから、仕方なかったのか…」
その憤りや寂しさは怒りへと変わり、その矛先は、ずっと信じ続けてきた神仏へと向かい、「自分しか信じられない。誰も味方になってはくれない」と彼は心を閉ざしていきました。
さて、なぜそのような体験をする必要があったのか?その原因となる別の前世を見ていきました。
海の上に浮かぶ一艘の船に、ひと際がたいの良いひげもじゃの男が、前世のTさんでした。
年は40才~50才くらいでしょうか。海賊のようです。
海賊船の船長をしている彼のことを、やせ細った乗組員たちは怖がっています。
彼は腰にナイフをぶら下げ、何かあると怒り出すので、乗組員たちは懸命に働いています。
正気のない汚い彼らを、海賊の彼は軽蔑し、また人とも思っていない様子です。
俺はえらい、一番なんだと傲然たる顔つきをしています。
その乗組員たちは、貧しい暮らしが原因で小さな罪を侵し、留置場にいた人たちでした。
海賊の彼は、留置場を取り締まる人と取引をし、彼らを腐れ金で買い取りました。
この仕事には、もってこいだと思ったのです。
いつ死ぬかわからない仕事だから、死んでもかまわないような人に働かせる。
逃げたくても、海の上ではそうもいかないという都合の良さもありました。
しかし想像を越え、長い航海になり、やがて食料が尽き果ててしまいました。
船上にはドクロが転がっています。人の骸骨の山…。
彼は、腐れ金であっても支払い買い取った乗組員たちを、まるで家畜のように扱っていました。食料が尽きた時も、きっとそのような扱いをしたのかもしれません。
誰もいなくなった船に寝ころび、夜空を見ながら、彼は思います。
「誰もいなくなった。自分だけが生き残った。船を動かす者もいない。船は漂流している。金は山ほどあるのに、どうにもできない…」
死が近づく中で、彼は良心を取りもどしていきました。
人は寂しく、愚かな生き物です。
死にゆく瞬間になってはじめて、自分の過ちに気づくのです。
「船が漂流したと気づいた時、みんなで力を合わせればピンチを切り抜けられたはずだ。そしてどこか島に辿り着くことができたのかもしれない。ただ俺は、あいつらを人とも思っていなかった。死のうが苦しもうが関係なかった。はぁ…一人じゃ何にもできなかったとはじめて知った。こんなに金はあるのに…海の上では金など何にも役に立たない」
ところで彼は、なぜ海賊になろうと思ったのでしょうか?
そんなにお金や力が欲しかったのでしょうか?
そこで、彼の幼少期を見ていきました。
彼は母と妹の三人で暮らしていました。
生活は非常に貧しく、家の柱であった父は盗みを侵し、捕まったまま帰ってきません。
何とかして生活しないと!と、彼は船で働くようになりました。
ちいさな体で懸命に真面目に働きました。
自分にも他人にも厳しく、仕事もできた彼は自信をつけ偉くなり、どんどんお金を稼いでいきました。
俺が一番偉い!
俺は自分の力でやってきた!
自分の力でできないやつらはダメな人間だ。
父もそうだ。
父がいれば生活はもう少し楽だったはずだ。
捕まるなんて、軽蔑にも値しない。
今も恨めしい存在だ。
人のものを盗ったり、甘えたりするなんて…。
自分の力で何とかできたはずだろ。
弱いやつだ。そんなやつは生きている意味などない。
努力が足りないんだ。
甘えている!
生きている意味などないやつらを殺そうが、こき使おうが、悪いなどこれっぽっちも思わない。
なにせ俺は自分の力で金を稼いだ。
俺は偉いんだ!!
彼はこうして優越感に浸り、自力では何もできない彼ら…そして父を、軽蔑し見下していきました。
ーーー
さて、船上では、いよいよ彼の魂が肉体を離れようとしています。
甲板に大の字になり夜空を見ています。
「俺は偉かった。よくやってきた。けれど一人になったら偉くもなんともない。みんながいなくなったら威張ることも、何もできなかった。俺は…偉いのか?」
彼は無力感に包み込まれます。
「威張ることしかしなかった。みんながいたから、比べる誰かがいたから、俺は偉いと思えたんだ。いなくなってしまった今では、金や偉いということなど、何にもならない。他にできることがあったはずだ。威張ることではなく。あ…人に分け与え、協力すればよかったのか…。こんなことにさえ気づかないなんて。みんなをもっと大事にすればよかった…」
果てしない海に浮かぶ船は、無限に広がる宇宙へと向かっていた。
彼は何かに包まれ守られているのを感じた。
「心地いいなぁ。自分が一番偉いなどと思っていたなんて。こうして、もっと大きな、目に見えないもににゆだねることは、本当に楽で心地がいい。俺は小さかった」
彼は魂の存在になり、家で待つ母や妹に語り掛けた。
「ごめんな」
悪事をはたらく人は、最初から本当に悪い事をしようと思っている人ばかりではない…と、セッションを通していつも気づかされます。
ただ、身近な人に笑顔になってもらいたかった。
それがきっかけとなることが、本当に多いものです。
けれどいつからか強欲に取りつかれ、まみれると自分を見失ってしまうようです。
彼の魂は、人生を振り返っていきました。
彼の魂が、本当にやりたかったことを、まるで人生をやり直すかのように再現していきました。
大海原に浮かぶ大きな船に、乗組員たちが待っています。
彼は腰に下げたナイフを外し、みんなで歌を唄い、星を見ては酒を飲み、笑い語らっています。
「みんなでがんばろう!」
彼の声が、乗組員たちの心にこだましていきました。
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【前世からの託されたバトンとは?】
弱い者も守り、その人たちの目線になる。
みんなの気持ちや環境をもっと聞く。
溜め込むことなく、ニコニコとしてくれるように。
そうしたら、みんな幸せになるんだ。
人は一人だと偉くも何にもない。
お金じゃなく、仲間が大事だ。
人と繋がること。自分も幸せになること。
一人じゃ幸せを感じることもできない。
(完)
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さて、一つ目の前世と、二つ目の前世を見て、Tさんが気づくべきこととは、一体なんだと思いますか?
ここの見解はとても大切な部分ですので、続きはまた次回に(^^)/
お読みいただきありがとうございました★
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