【前世療法58】*集合的無意識から届いたメッセージ*自分の中にある弱い者★
僧侶と海賊の前世を通し、Tさんの無意識の領域は、何を伝えようとしているのでしょうか?
前回の続きです。
本題の前に…少し説明をさせてください。
よく聞かれるのですが…
前世療法で見える前世は、本物かどうかはわかりません。
また、「前世や輪廻」というのは、仏教思想からきているものなので、文化的に受け入れていないところもあるわけですから、その時点で「真理」とも言い切れません。
けれど、セッションの中で、目を瞑るとなぜだかイメージ出てくるんですね。
それは、自分が想像もしなかった物語となっていくのですから不思議です。
では「それはどこからきているのか?」というと、そのイメージや物語は、寝るときに見る夢と同じ領域からきているのです。
1900年前後に活躍した心理学者・精神科医のカールグスタフ・ユングは、「夢」は、意識の深い層である「集合的無意識」から「意識」へ向けてのメッセージだと考えていました。
(ユングは、私たちが日常に使う「意識」「無意識」「集合的無意識」の構造を広めた人です)
ただ、無意識の領域は「言葉」がありません。
だからイメージとして見せてくれます。
ではなぜ、クライエントさんはそれを「話せる」のかといえば、「頭」がイメージを言葉にしてくれて、意識化できるようにしてくれるからです。
頭が変換機能の役割をしますので、どうしても「自我」というものが関係してきます。
ですので、前世という物語を通して届けられたメッセージは、その人によって歪んでしまうこともありますが、「正しく」読み解くことも必要ではありません。
セラピストは、クライエントさんが持つ「歪み」や「正しさ」という、不確実で曖昧な感覚を共に感じながら、前世という物語を共に体験し、伴走させていただく役割です。
伴走させていただく中で、クライエントさんとの間に共鳴が起こりますが、自他の区別をしっかり持っていると、共感、理解、そして疑問も起こってきます。
(ただ共鳴しあっている状態では、セラピストはいろいろなものに覆いつくされてしまいますので、しっかりと自分をもっていなければなりません。
※共鳴、共感の区別や理解、疑問などは、前世療法講座では詳しくお話しておりますが、ブログでは長くなりますので、割愛いたします。
その疑問をクライエントさんに問いかけることで、またより深い理解へと変化していきますが、この時に重要なのは、セラピストの考えを押し付けることや、思ったことをアドバイスをすることは、「無意味」なんですね(^^)
問いかけて、感じる。
問いかけて、味わう。
問いかけて、感じる。
問いかけて、味わう。
それを繰り返していくと、クライエントさんやセラピストは、ある時パズルのピースがはまったような感覚を得ることができます。
(セッション後すぐにではなく、時間が経ってからのことが多いです)
その「問いかけ」がとても大切なのです!
また、自分ひとりでは、その「問いかけ」は偏ってしまうので、その役をセラピストが担います。
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「あなたが危篤状況になって助かる方法を考えるのに、1時間あるとしたらどんなことをしますか?」
という質問に対し、天才アインシュタインは、こう答えたといいます。
「最初の55分間は、最適な質問を探すのに費やすだろう」
最高の答えを見つけ出すには、最高の質問が必要で、その質問を探すのに殆どの時間を費やすくらい”重要”だということです。
ちなみに、アインシュタインが自分に問うた「最高の質問」は…
「この宇宙は、はたして優しい場所だろうか」です。
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さて、本題に入ります(^^)/
「大切なものは、目に見えない」という名言で有名な「アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ」の絵本「星の王子さま」をご存知ですか?
星の王子さまが旅先で出会ったさまざまな人たちの中に、今回のヒントがあるように思いました。
「星の王子さま」が最初に出会ったのは、ある王さまでした。
「やあ!家来がきたな」と、大声で王子さまを迎えます。
その王さまは、自分の権威を守ること、自分の体面や体裁を保つことばかりを考える人でした。
星の王子さまは聞きます。
「陛下、陛下はいったい、なにを支配していらっしゃるんですか」
王さまは答えます。
「どこも、ここもじゃ」
星の王子さまは言いました。
「でも、誰もいませんよ」
たったひとりの星に、王さまは住んでいました。
お金や権力があっても、周りに人がいなければ、自分の心を満たすことはできないのです。
次の星には大物気取りのうぬぼれやが住んでいました。
「やあやあ! おれに感心している人間がやってきたな」と、王子さまを迎えます。
彼は、自分以外の人は「自分を称賛する存在」だと思っています。
「私を心の底からたたえなさい、この星で私が一番お金持ちで、一番賢いと認めるんだ!」
彼は、嘘であっても自分を埋めてくれる言葉を欲していました。
うぬぼれる以外に自分を保てなくなった、まさに孤独な人でした。
王子さまは、「この星に上にいる人ったら、あんた一人っきりじゃないの! 人に感心されることが、なんで、そうおもしろいの?」
そう言って、そこを立ち去りました。
Tさんの最初の前世は、僧侶でした。
一生懸命に修行をし、正しい心を保ち、また行いをしていました。
それは、「貧しい人を救いたい、幸せになってほしい」という思いからでした。
さて、僧侶の前世物語に出てきた中で、「貧しく、幸せでない人」は誰だったのでしょうか?
その僧侶が救うべき相手とは、誰だったのでしょうか?
また、2つめの海賊はどうでしょうか?
彼は魂の存在になり、人生を振り返った時、こう言いました。
弱い者も守り、その人たちの目線になる
人と繋がること。仲間が大事だ。
「弱い者」「仲間」…
それらは自分自身の見立てや、判断で選ぶことになります。
自立できないもの、捕まるものは「弱い」…
志を同じにしているものは「仲間」…
もしかしたら、Tさんは深層心理ではそう思っているのかもしれません。
もしそうなると、豪華な金色の袈裟を来た高僧は、「仲間」でもなく「弱い者」でもないのかもしれません。
となると、貧しい生活を自力で脱することのできない者、飼い主にご飯を用意してもらわなくてはならないペットなどは、「弱い」のかもしれません。
天使や神さまと呼ばれるような存在の名前を出して、「〇〇神が〇〇と言っています」と、チャネリングしアドバイスをする人や、他の人や何かの手を借りないと、自分の意見を言えない人、自分で決められない人は、弱い者と感じているのかもしれません。
金色の袈裟をまとった高僧や、傲慢な海賊は「自分は神だ」と勘違いしてしまったのでしょう。
彼らは、自分に力や立場がなければ、誰も自分の言うことなど聞いてもくれないと、どこかでわかっていたのでしょう。
彼らの胸の内から、「私の話を聞いてほしい」という寂しさを感じます。
自分の意見に自信のない人もいます。
自分の言葉に責任を持てない人もいます。
自分の考えを否定されるのは怖いものです。
だけど人は、自分の話を聞いてほしい、自信と影響力を持ちたいと願ってしまうのです。
「星の王子さま」に登場した星の住人たちは、星にひとりで住み、話し相手もいなかったので、王子さまが来た時には歓迎し、去る時は引き留めようとしました。
彼らは弱い存在で、ただ話し相手が欲しかったのだと思います。
けれど、寂しい人ほど上下関係を作りたがります。
上の立場になればなるほど、見えないベールが張られ、人との距離が遠くなっていくというのに。
それはとても寂しく、恐ろしいものです。
Tさんはそれらがわかっていて、「〇〇天使がこう言っています」という人や何か信仰することに対して、頭では違和感を感じ、深い領域では、寂しさや虚しさを感じたのではないでしょうか?
そして、かれらを「わかりたい」と思っているのではないでしょうか?
そうでなければ、そんな人は放っておいても構わない、と思ってもいいわけですから。
本当に、人間は愛の存在だと思います。
長くなりましたが…これが正解ではありません。
これは、セッションを伴走させていただいた私の中で起きたことです。
だから、Tさんに当てはまるかもわかりません。
前世療法は、現実と同じく、相手の中に自分を見ます。
「投影」です。
(ちなみに、この投影もユングの提唱した考えのひとつです)
だから、私はセッション中、涙が出てきました。
Tさんが私の中にあるものを、教えてくれたんです。
これが、前世療法の醍醐味である「相互作用」だと思います。
クライエントさんの中に影の自分を発見し、クライエントさんが癒されると私も癒される、クライエントさんが統合へと向かうと、私も統合へと向かうという繋がりのある関係性。
だからいつも思うんです。
セッションを受けていただいて、ありがとうございます!と。
自分が癒されると、誰かも癒される。
誰かが安心すると、自分も安心する。
アインシュタインさーん、答えが出ましたよ!
「この宇宙は、思っていた以上にやさしい場所ですよ」
お読みいただきありがとうございました★
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